◆あなたがいれば◆

13/21
前へ
/23ページ
次へ
そのときだった。 扉がバタンと開き、カノンノ達が入ってきた。 鎖で縛られているシンを見つけて、カノンノは、傍にいる少女を睨んだ。 「シン!!」 シンは意識がない様子だ。 「あなた達はアドリビトムの…。」 「シンを返してもらいにきた。」 イリアが銃を構えた。 「あなたはカノンノだと言っていた。一体何者なの?」 イアハートが訊くと、少女はニヤッと笑った。 「そうよ。私はカノンノ。…芽吹くはずだった世界…世界樹に取り込まれなかった世界の種子。」 少女はシンに近づき、頬を寄せる。 「だからシンを…世界樹を手にいれて、私を拒んだ世界樹を…ルミナシアを滅ぼす。」 少女は魔法を放った。 不意をつかれ、イリアの肩をかすった。 「イリア!!」 ルカが叫ぶと、イリアは強い眼差しを少女に向けたままで言った。 「大丈夫。かすり傷よ。…それより…。」 イリアは少女を睨んだ。 「ルミナシアは滅ぼさせはしない。あんたの思惑通りにはさせない。」 イリアが言うと、少女はクスッと笑った。 「僕がいなくても、ディセンダーに代わりはいる。」 少女の言葉に皆はハッとした。 「シンが言っていたのよ?…かわいそうなシン…。」 シンは朦朧とした意識の中、頭を持ち上げた。 「僕…は…。」 「大丈夫、シン。これからは私が傍にいてあげる。その体をもらい受けてね。」 それを聞いて、ルカはハッとした。 「君がシンの体を侵食していたのか!!」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加