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「そうよ。世界樹を取り込むために…。そしてもうすぐシンは完全に私のものになる…。」
「…僕…は君の思い通りには…ならない…。ルミナシアは…僕が守る…。」
シンは微かな意識の中、少女に言った。
「まだそんなことを言うか!!」
少女は電撃の術をシンに浴びせた。
「うわああああああっ!!」
「シン!」
シンは力なく、意識を失った。
カノンノは怒りのあまり我を忘れたかのように、少女に飛びかかった。
少女はふっと不適な笑みを浮かべて、術を放ってカノンノを退けた。
「きゃぁっ!!」
カノンノは吹っ飛ばされた。
「カノンノ!!」
イアハートが思わず叫んだ。
「…輝ける力よ…。」
皆がその声に振り向いた。
するとシンは力を振り絞って光を放った。
「僕に力をっ!!」
シンは光を放ち、鎖を引きちぎった。
「シン…。」
全身怪我だらけで血まみれのシンは、ふらつきながらも立ち上がり、少女を睨んだ。
「ほぉ…まだそんな力を残していたのか。」
シンは剣を構えた。
「シン、無理だ!!その体で戦うなんてっ!!」
ルカがそう言って止めてもシンは聞かず、カノンノとイアハートの前に立ちはだかった。
「イアハート。カノンノに手当てを。」
「何言ってるの、シン!あなたのほうがよっぽど酷い怪我をして…。」
シンの体からポタポタッと血が流れていた。
「シン!!」
イアハートはそれを見て、思わず青ざめた。
「カノンノは僕が守る…。」
「そんな体でこいつらを守ることに一体何の意味がある!お前は世界樹とルミナシアに利用されてるにすぎないんだぞ、ディセンダー!」
すっかり形相がかわり、荒々しい口調で少女はシンに言った。
「確かにそうかもしれない。」
「シン…。」
シンはうつむいた。
「僕の代わりはいる。それに僕がいなくても、アドリビトムの皆がいれば、きっと世界は正しい方向へ向かう。僕はもう必要ない存在なのかもしれない。」
シンが言うと、すかさずルカが叫んだ。
「シン!!!!」
「…でもそれでも…僕は…アドリビトムの皆が好きなんだ。皆は僕を仲間だって言ってくれた。」
少女は鼻で笑った。
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