50人が本棚に入れています
本棚に追加
「ルカ。みんなを連れてバンエルティア号へ戻れ。」
シンはそう言って、みんなの前に立ちはだかった。
「でも、シン!君はどうするんだよ!?」
ルカに言われて、シンはフッと笑った。
「僕は彼女を倒す。」
「私を倒す…だと!?面白い事を言う。」
ルカはイリア達を守るようにしながらも、シンは言った。
「だったら僕も一緒に戦うよ!!」
「…足手まといなんだよ!!」
シンはルカの言葉をさえぎるようにして言った。
ルカは動揺を隠しきれずに言った。
「シン…。」
「早くバンエルティア号へ行け!」
ルカは泣きそうな顔で、何か言いたそうなイリアと、カノンノ達を連れてバンエルティア号へ戻っていった。
「ルカ…ごめん。」
シンはカノンノと対峙した。
バンエルティア号へ戻ったルカが、泣いているとイリアが言った。
「いつまで泣いてるのよ、ルカ。」
「だって…シンが…僕を…僕…シンと友達…足手まとい…て…」
すでに何を言っているのかわからないような状態だったが、イリアは大体を把握してため息をついた。
「あんなの、本心で言ってる訳がないでしょ。」
ルカは泣き顔のまま、イリアを見た。
「あたし達を守るために言ったのよ。何が友達よ。今までのアイツを見ていたら、アイツが何であんな風に言ったかくらい、想像つくでしょ。」
イリアはため息をついた。
そして気を失っていたカノンノが目を覚まして、辺りを見渡した。
「シン…シンはっ!?」
見慣れた風景。バンエルティア号の中。
だがそこにシンはいなかった。
イアハートは、気まずそうに下を向いた。
「ごめんね。カノンノ。シンを…止められなかった。」
動揺を見せるカノンノに、イリアが経緯を簡潔に話した。
「何でシン…いつも一人で抱え込んでばっかりなの?…ラザリスのときも、ダオス達を倒しに行くときも…いつも肝心な時は一人で…。あたし、シンの役に立ちたいのに…傍にいたいのに…。」
カノンノは思わず涙を流した。
「あたしも…シンの傍にいたかった。離れたくなかった…。」
二人の想いを察して、ルカとイリアが顔を見合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!