◆あなたがいれば◆

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「…っ、痛…。」 部屋を出たシンが頭を抑えていると、カノンノが心配そうに顔を覗いてきた。 「シン、大丈夫?」 カノンノが言った。 「ん?大丈夫だよ。ごめん。食堂先に行ってて。」 シンは優しくそう言った。 カノンノは食堂でおやつを食べながら、ため息をついた。 「あら、カノンノどうしたの?」 元気のないカノンノに気づいたクレアに訊かれて、カノンノはうつむきながら言った。 「好きな人を独り占めしたいって…わがまま…なのかなぁ。」 クレアは驚いて、傍にいたシェリアと顔を見合わせた。 「みんなに優しいって、すごく良いことじゃない?でも、時々それがあたしだけに向けられたらいいのに、なんて思って…。」 カノンノの話を聞いた、シェリアは言った。 「確かにシンは誰にも優しいわね。」 クレアはカノンノに優しい笑顔を向けた。 「ちょっとシェリア!!誰がシンだって…。」 「あら。見てればわかるわよ。」 カノンノが真っ赤になっていたその頃、シンは。 クシュッ お約束。 機関室でチャットを手伝っていたシンは、チャットに話しかけた。 「チャット、このボルト締めればいい?」 シンはそう言って、チャットを見た瞬間、チャットが足をひっかけ、立てかけていた鉄板がグラッと揺れたことに気づいた。 「チャット、危ない!!」 シンはチャットの小さな体を抱え込むように、崩れた鉄板からチャットを庇った。 ガラガラ…ガシャンッ!! とてつもない音に、部屋にいた皆が出てきた。 「チャット、大丈夫か!?」 ロイドがそう言うと、チャットは、青い顔で言った。 「ボクは大丈夫ですけど…シンさんがっ!!」 するとそこには、鉄板の下敷きになっているシンがいた。 「シン、大丈夫か!!しっかりしろ!!シン!」 ロイドとスタンがシンを助け出したが、シンは意識がなかった。 シンは医務室に運び込まれて、アニーとルカ。ミントが懸命に処置に当たった。 「シンは!?」 医務室に駆けつけたカノンノは、泣きそうな顔で言った。 パニック気味のカノンノを、ヴァンが優しくなだめた。 「落ち着きなさい。今診ているところだ。」 締め切られた医務室のドアがあいたのは、それから数時間後。 医務室のベッドに、頭に包帯が巻かれたシンが寝ていた。 「大丈夫。命に別状はありません。」 カノンノは真っ先に医務室に飛び込み、寝ているシンの手を握った。
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