◆あなたがいれば◆

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シンはしばらくすると目を覚ました。 「シン…良かった。良かったよぉ…。」 シンはカノンノの手を握り返した。 「どうしたの…?カノンノ…何で泣いてるの?」 「だって…シンが死んじゃうかもって…。」 シンはニッコリと笑った。 「僕は死なないよ。…ずっと傍にいる。って約束したでしょ?」 シンがそう言うと、後ろからナナリーが呆れた様子で言った。 「あんたねぇ。普通の人間なら死んでたよ。ディセンダーって生命力高いのかね。」 ナナリーに言われて、シンは思わず苦笑した。 「ほら、シン。あんたはしばらく安静。カノンノもシンを休ませてやりな。」 そう言われて、カノンノはシンから離れた。 「あのっ…。」 チャットがいつになく泣きそうな顔でシンを見てきた。 「チャットは怪我はなかった?」 シンに訊かれて、チャットは頷いた。 「なら良かった。」 シンはニッコリと笑った。 安心したシンは、そのまますぅ、と眠った。 翌朝。 目を覚ましたシンは、服を着て医務室を出ようとした。 「シン!」 ルカに呼ばれて、シンは肩をピクッとさせた。 「…みんなには黙ってて。」 「でもっ、シン!」 ルカが何を言いたいかがわかったシンは、そう言って医務室をでた。 呼び止めようとしたルカを、アニーが止めた。 シンはふ、と小さくため息をつくと、食堂に入って行った。 「おっ、シン。もう大丈夫なのか?」 ティトレイに声をかけられた。 「うん。今日はティトレイが食事当番なんだね。」 「おう。スタミナのつくもん作ってやるからな。」 ティトレイに言われて、シンは頷いた。 「よっ。もう大丈夫なのか。」 ロイドが食堂に現れた。 「うん。心配かけてごめん。」 「あんまり無理するなよ。」 シンは頷いた。 食卓にはティトレイが作った食事が並べられ、皆で談笑しながら食べ始めた。
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