◆あなたがいれば◆

5/21
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
食事を済ませたシンがホールに行くと、そこにはイアハートがいた。 依頼が書かれた紙に目を落として、何やら困った様子だ。 「イアハート。どうしたの?」 「シン。」 イアハートはシンのほうを向き、詳細を話した。 アルマナック遺跡に行かなきゃならないらしいが、初めてでよくわからないとのこと。 イアハートは別の世界からルミナシアにきて、日が浅い。 同行を頼みにくいのだろうと、シンは思った。 「なら僕が一緒にいくよ。用意してくるから甲板で待ってて。」 「えっ!?でもシン、怪我!」 イアハートが言うと、シンはニッコリと笑った。 「だーいじょーうぶっ。すぐ取ってくるから。」 シンは部屋に戻ると、道具袋を腰につけて、剣を差した。 「シン、どこにいくの?」 後ろからルカが声をかけた。 「まさか、仕事じゃないよね?」 シンはピクッとした。 「その体で行く気?…医者として許可できない。」 シンは、背を向けたままでルカに言った。 「僕の…『代わり』はいるんだよ、ルカ。だから大丈夫。」 「シン!!!」 シンはルカを振りきるように、イアハートのもとへ行った。 「どうしたのよ、ルカ。」 「イリア…。」 ルカは泣きそうな顔でイリアを見た。 「イリア…僕…シンを…。」 泣きべそ状態のルカに、イリアは呆れた顔を見せながらも話を聞いた。 その頃シンは、イアハートと甲板で合流をしていた。 「ごめんね、シン。ありがとう。」 「うん。遅くなってごめん。」 シンとイアハートは、アルマナック遺跡に向かった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!