◆あなたがいれば◆

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アルマナック遺跡に着くと、シンはイアハートに言った。 「どっちに行けばいいの?」 「うん。希望灯受体の間?って場所。」 そう言われ、シンはニッコリと笑った。 「なら西だね。オッケー。」 シンの笑顔に、イアハートは思わず顔を赤らめた。 「ねぇ、イアハート。イアハートの世界にもディセンダーはいるんだよね。」 「…うん。いる。スッゴく元気で可愛い女の子だよ。」 シンはそっか、とうつむいた。 「シン、何か悩んでる?」 イアハートに言われ、シンはドキッとした。 「ディセンダーって…さ…。」 そこまで言ったシンは、鋭い瞳で辺りを見渡した。 「イアハート。僕の後ろに隠れて。」 シンに言われ、イアハートはシンの背中にはりつくように隠れた。 そして上から襲ってきた魔物をシンが物凄い速さで切り裂き、倒した。 気配がなくなったことを確認して、シンは剣をおさめた。 「イアハート。怪我はない?」 「うん。シンが…守ってくれたから。」 イアハートは顔を赤くした。 「良かっ…くっ…。」 シンは思わず頭を抑えた。 「シン!?」 イアハートは思わずシンの傍に寄った。 「平気。ごめん。」 シンはイアハートにそう笑いかけて、先を進んだ。 希望灯受体の間。 今はすっかり静かになったこの場所で、ラザリスと初めて会ったことを、シンは思い出した。 「この辺りに…」 イアハートは依頼書通りの探し物を始めた。 『ディセンダー…』 「何…うっ…。」 また頭痛…とシンは頭を抑えた。 頭の中に響く声。 シンはあまりの痛さに、ついに膝をついた。 「シンッ!!」 イアハートは、シンの傍に駆け寄った。 「シン、大丈夫!?」 シンは思わずイアハートを制した。 『ディセンダー…。』 シンはディセンダーの光を放ち、頭の中に響く声と、頭痛を打ち払った。
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