◆あなたがいれば◆

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「シン。」 帰り道。 硬い表情のシンに、イアハートが話しかけた。 「さっきはごめん。」 思わずイアハートの手を振り払ってしまったことを気にしていたシンが言った。 「そんなことより、大丈夫なの?」 「…大丈夫。」 二人はバンエルティア号に戻った。 シンが部屋に戻るために船倉に向かっていると、突然、銃口を頭に突きつけられた。 「イリア…。」 「このままあたし達の部屋に向かいなさい。」 イリアに言われ、シンは訳がわからないまま、イリア達の部屋に連れられた。 そして椅子に座らせられて、手首を縛りつけられた。 「…イリア。どういうつもり?」 シンはイリアを見て言った。 「ごめん…シン…。」 イリアの影から、ルカが現れてシンは事の真相を把握した。 「…ルカに全部聞いたわよ。」 イリアは厳しい目付きで、シンを睨んだ。 シンは小さくため息をついた。 「あんた。ルカが言わなかったら、ずっと隠し通すつもりだったわけ?」 シンは黙って顔を背けていた。 「あんたの体。戦える状態じゃないらしいわね。何かがあんたの体を侵食してるって…。」 イリアにそう言われても、シンは答えなかった。 「悪いけど、そんなことを聞いて黙ってられるタチじゃないのよね。」 「それで僕をここに監禁するって訳?」 シンは静かに言った。 「どんなに止めても、あんたは無理するんだから。それなら強行手段に出るしかないわね。」 シンはイリアを見た。 「僕はディセンダーだ。」 イリアとルカが振り返った。 「僕の命は世界樹と共にあり、僕はルミナシアを守るために生まれた。ルミナシアを守るために命が尽きることなんか怖くない。」 イリアは思わずシンを見た。 「シン…。」 「たとえ僕が死んでも、ディセンダーに『代わり』はいるんだ!!だから!!」 バシンッ
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