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シンを平手で殴ったのは、イリアではなくルカだった。
「ルカ…。」
ルカは涙ぐみながらも、シンを睨んでいる。
「何言ってるんだよ。…僕達は、ディセンダーだからシンと一緒にいるわけじゃない。僕らの仲間のシンがたまたまディセンダーだっただけだ。シンの代わりなんかいないよっ!!」
ルカは涙をぽろぽろと流していた。
「あんたの体を侵食している原因を突き止めて、必ずあんたを救う。…だから、今は無理はしないで。」
イリアはいつになく泣きそうな顔でシンを見た。
二人はシンを残して部屋を出た。
しばらくすると、スパーダが部屋に入ってきた。
「スパーダ。これほどいてよ。」
シンが縛られた手首を見せて言った。
「悪いな。俺もルカやイリアと同意見だ。お前が無茶するのを知ってて、放っとくなんてできねぇよ。」
「アンジュの耳にも入ってるよね…。」
シンが言うと、スパーダはニヤリと笑った。
「まぁ、いい機会じゃねぇか。少し休めよ。」
スパーダはそう言って、自分もベッドに寝転んだ。
『ディセンダー…汝の体…我が…頂く』
また頭痛と頭に聞こえる声がして、シンは思わず声を上げた。
「くっ…やめろ…やめろぉぉぉ!!」
ただならぬ感じにスパーダが飛び起きた。
「シン、どうした!!シンッ!!」
「スパーダ…逃げろ…。」
シンはそうスパーダに言ったが、スパーダは首を傾げた。
シンは縄をひきちぎり、スパーダに襲いかかった。
「シン、どうした!!お前っ!!」
シンは容赦なくスパーダの首を締め上げた。
「くっ…シン…やめろ…。シン…。」
そこに、イリアとルカが入ってきた。
「シン!!あんたの体を蝕んでる原因がわかっ…」
イリアはスパーダの首を締め上げているシンを目の当たりにした。
「ちょっ…と遅かったみたいだぜ…イリア…。」
スパーダはイリアに言った。
瞳の色がない。
完全に正気でないシンの様子に二人は驚いた。
イリアはシンの足元に銃を撃ち込んだ。
シンはイリアを睨んだ。
「イリア!!」
シンがイリアに襲いかかった瞬間、ルカが前に立ちはだかり、ルカがシンを退いた。
シンは剣を抜き、ルカに斬りかかった。
ルカは剣を盾のようにして、防いだ。
「シン…。」
シンはイリア達の部屋のドアを蹴破り、ホールに向かった。
「まずい!!」
ルカ達はシンを追った
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