超絶ネクラマンサー

3/8
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/224ページ
 俺が本当に存在すると信じているのは、正確に言うならば、今のところネクラマンサーだけだ。根が暗いネクロマンサー(略してネクラマンサー)。……言わなくてもわかっている。わけがわからないだろ? 俺だって、わからないさ。けど、これが実際にいるんだよなー。しかも俺の家に居候し、あろうことか今このとき、俺のとなりにさ。 「……あのー、粗茶です」  かぼそい声をだしながら、雪のような白い手がぬっと現れた。持っている湯のみをそっとテーブルの上に置く。ちなみに、俺が今いるところは自宅の洋間。窓から日差しが入りこみ、心地いい。うっかりすると、うたた寝しそうな陽気だ。 「お、サンキュー」  と調子のいい返事をし、俺はその白い手の持ち主であるネクラマンサーに目を向けた。  まず目を引くのが、ツヤのある長いストレートな黒髪。たとえるなら、日本人形みたいな感じのやつだ。あともう少し伸ばせば、床に届きそうである。つづいて、前髪から垣間見える、どんよりした目。どこか違う世界を見ているようなそれは死んでる! あきらかにヤバイ目だ。はじめて見たとき、恐怖したことを俺は覚えている。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!