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「!!!」
とたんに、彼女は強いショックを受け、忍者みたいにさささっと部屋の隅に移動した。ひざを折り曲げ、その場に屈みこむ。
「いいんです、いいんです。私なんか。どうせ粗茶の一つもいれられませんよ。ブツブツ――」
まるで呪文のようにつぶやきつづける。
はじまった。俺はひたいに手をやり、大きく溜息をついた。急いでネクラマンサーに駆け寄る。
「いや冗談。さっきのは冗談。今までで最高のお茶だった。俺が悪かった。だから機嫌を直してくれ」
苦笑を浮かべながら、必死に謝る。
「いいんです、いいんです。私なんか。どうせ根暗だし、ネクロマンサーですし。ブツブツ――」
よくわからない理由を述べるネクラマンサー。そんな彼女のようすをたとえるなら、周囲にドス黒いオーラを発生させ、頭上にマンガのような三本線をうねらせている感じだ。
よく見ると、右人さし指で、床をほじほじしている。
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