超絶ネクラマンサー

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 ほじほじほじ――  さすがネクラマンサー。ほじほじしている部分から、ほのかに白い煙が立ちのぼりはじめて……。って、のんきに静観している場合じゃない。 「おやめください。ネクラマンサーさま。この私めが悪うござんした。どうかお気をお静めになってください」  知らないうちに、妙な言葉づかいになっていた。俺は頭を床に打ちつけ、連続で土下座する。早くしないと、火事だ。燃える。死ぬ。というか、家を失う。路頭に迷う。ウチは火災保険に入ってないんだぞ。マジでシャレにならない。 「……本当ですか?」  ほじほじする指をとめ、ネクラマンサーは死んだ目で俺を疑う。怖さが倍増している。 「あ、ああ」 「では、粗茶を用意します」  どうやら機嫌が直ったらしく、ネクラマンサーは口もとをやや緩め、うれしそうな顔で立ちあがった。台所へと向かい、また粗茶を作りはじめた。ぼそぼそと遠慮がちな鼻歌が聞こえてくる。
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