超絶ネクラマンサー

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 やれやれ。どうにかなった。  俺は大きく安堵の息を漏らし、ホッと胸をなでおろした。  ネクラマンサーはガラスのように繊細で非常に傷つきやすい心の持ち主らしく、それにけっこうな根暗だ。これは一週間一緒にすごした経験則からだ。そんなわけで、ちょっとしたことでもすぐに傷つき、ああいうふうになってしまう。とり扱い厳重注意な少女なのだ。  あー、それにしても参った。これ、どうすっかなー。  俺は一部黒コゲになった床を見つめた。まだほんのりと白い煙が立ちのぼっている。ネクラマンサーに見つからないように、俺は湯のみに残っている粗茶をかけた。ジュッと小さな音がした。部屋を見まわせば、あちらこちらにコゲついたあとがある。まるで根性焼きだ。これらは、すべて彼女の仕業だ。  この光景を見たら、父さんと母さんはキレるだろうな。まあ幸いにも、二人は「おっしゃー、世界一周旅行当たったぜ」とかなんとか言って、一人息子の俺を置いてけぼりにし、約一年かかるという超贅沢な世界旅行に出かけているので、現在いない。非常にありがたい。
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