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《黄組はどうやら宇宙服のようです!重そうですねー》 《赤組は…アレだれー?着ぐるみとか見てるだけで暑ーいっ》 《…てゆうか雫と木葉斎が出てこないんだけどー》 冒頭の声は 見知らぬ誰か、双子、の順である。 何なの、代わったんじゃなかった訳。 「あの、木葉君…着かたがわからないなら手伝いましょうか?」 「…大丈夫、ちょっと手こずってるだけだから。」 1番に入ったボックスの中で、黄、赤、と走っている様子をマイクでの声で確認していると 遅いから、とボックスの外から係員らしき人から声をかけられ、渋々返す。 わかってるさ、早く出て次にバトンを渡さなくちゃいけない事くらい。 だけどな、出たくないんだよ。 この、今俺が着ている服に合っているのかよくわからん物を持って蹲る。 転校生も出てきていないらしいが、何のコスプレをさせられているのだろうか。 ビキニとかじゃない限り俺よりマシな気がする。 《おぉーっと!白組の佐藤君が出てきたようです!》 もう負けでいいから終われ、なんて思っていると 見知らぬ誰かの声が響き渡った。 どうやら転校生が出てきたらしい。 《佐藤君のコスプレは…な、なんとSM女王のようです!際どい!》 …SM女王? やべぇ、見てみたい。 見知らぬ誰かが転校生のコスプレの解説をし出す。 服は黒の革の生地で 大事な所(胸と股間)だけが申し訳程度に隠され、ガーターベルトにブーツ。 そしてバトンは鞭。 ボサボサの髪と眼鏡はそのままらしいが…、逆にその組み合わせが見たいんだけど。 でも、出たら俺のこの姿を晒す事に… 《木葉斎はまだー?》 《もう着替えてるでしょ、そこの係員!引っ張り出して!》 双子は転校生についてはどうやらどうでもいいらしい。 基本この二人は面白い事が好きだ。 多分俺が出てこない事で、屈辱的な格好だという事がわかったらしく、声が楽しそうだ。 「あの、木葉君…」 「ごめんね、今出るから」 続いてボックスの外から聞こえてきた申し訳なさそうな声に、仕方ないと、意を決してボックスのドアノブを捻った。 恐らく転校生よりはマシなはず。 …というか、もうやけくそだこの野郎! .
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