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「斎可愛い!俺の部屋で飼いたいっ」 「ごめんね、僕人間だから無理だよ。」 「大丈夫!叔父さんに言えばすぐになんとかしてくれる!」 もうコイツの口縫いたい。てか接着剤でくっつけたい。 誰かコイツ黙らせてくんねーかな。 「チッ淫乱が…」 「雫の気を引きたいんでしょうけど、見ていて痛々しいだけですよ。」 「ほんと、親衛隊って性悪だよね。」 「雫…ダメ」 俺とコイツが話してんのがそんなに嫌なら、無理矢理にでもどこかに連れて行けよ。 淫乱淫乱淫乱淫乱淫乱…猿の一つ覚えかよ。 ああでも、下半身は猿並だっけ? ハッキリ言って、金魚の糞と化してるお前らのが痛々しい。 親衛隊が性悪って、お前のが絶対性悪だろ。 え、何?何が駄目なのかなー補佐君。 忠犬ぶりは可愛いけど言いたい事言わないでわかってもらおうなんて甘い考えが、可愛くない。 「…転校生君、君は青組じゃないでしょう?早く戻らないと皆に迷惑かけちゃうよ?」 「えーっ俺斎といたい!」 何かさ、言いたい事言えないのってこんなにももどかしいんだな。 「雫」 「雫」 「雫」 「雫…」 煩い煩い煩い煩い煩い。 猿共が。 俺の平穏ぶち壊してんじゃねぇよ。 「佐藤君」 「ん?何だ斎?」 お前らは自分の好きな奴のお気に入りが自分ではない事が腹立たしいんだろ。 面倒臭い。 俺をお前らの茶番に巻き込むな。 お前に悪気はないのはわかるけどさ、お前みたいな甘ちゃん大っ嫌いなんだよね。 まぁ、コイツがこんな風に育ったのは、周りのせいでもあるから、責めるべきは本当はお前じゃないかもしれない。 「俺さぁ」 でも、無理なものは無理。 俺の世界は狭いから、無理なものの為に自分や大切なものを蔑ろになんかできない。 お前は考えた事があるか? 自分のせいで誰かの平穏を壊して 自分のせいで誰かが辛い目にあっているかもしれないって …無いだろうな だから 「お前の事、死ぬ程嫌い」 ニッコリ、と笑みを浮かべて 転校生だけに聞こえる声で言ってその場を離れた。 「雫!?」 「どうしたんですかっ!?」 「雫っ」 「大丈夫…?」 言った後に見えた、転校生の悲しみに満ちた表情。 罪悪感が無い事もないけど お前には愛してくれる葛共がいるだろ? これでもう、近づくなんて馬鹿な事はしないよな。 ああ、スッキリした .
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