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****-間潮 蓮side-****
俺様の前を歩く、チャラ男の親衛隊隊長。
俺様がコイツを初めて見たのは、確か中等部に入った頃だった。
暖かく優しい儚げな雰囲気と、まるで作り物のように美しい中性的な顔立ち。
小等部の頃から噂だけは聞いていたが、初めて見た時は本当に゙天使゙なのかと疑った。
成績も良く、家柄も良い。
木葉家は確かあの゙緋王(ヒオウ)家゙という世界でも有名な家との兄弟分だと聞いた事がある。
この俺様よりも人望があり、この俺様よりも有能な存在。
――素晴らしく、嫉ましい存在。
高等部に入って直ぐに、俺様は生徒会に抜擢された。
有名で有能な木葉は俺様と同じく生徒会に入るのだと思っていた。
初めてのランキングでは、何故か投票さえ許されていなかった木葉だが、俺様は木葉を負かす為に無理矢理投票枠に入れた。
すると案の定、前ランキング一位を直ぐ様越した。
しかし、奴は
ランキング発表直後
生徒会会計に入ったチャラ男の親衛隊に入った。
――――許せない。
木葉は、この俺様と勝負する気さえも
この俺様を視界の片隅に置いてすらもいないのだ。
親衛隊は、顔と家柄だけを見るような存在。
愛を囁き愛に狂った存在。
゙天使゙は堕ちてしまった。
「早くしろよ猿」
振り向き、俺様を見る゙堕ちた天使゙
先程までの優しげな口調と顔は面影もない、作り物のような顔も相まって冷たすぎる雰囲気。
゙堕ちた天使゙は、元から゙天使゙ではなかった。
「黙れ淫乱が」
混乱し過ぎて頭は冷静になっても、出る言葉は何と幼稚な事か。
「は、ガキ」
睨みつける俺様をもろともせず、嘲笑う。
―――――痛い
先程から感じる、頭と胸の痛み。
コイツの冷たい目を見ると、更に増してゆく。
危険だ、と脳が訴える。
コイツは、危険だ。
俺様より弱いのに立ち向かってくる、俺様を認めてくれる雫に近づけてはいけない。
「ああ、そうだ…」
近づけば
「ちゃんとイイコにしてろよ」
妖しい笑みに囚われる
(囚われてしまえば)
(もう逃げられない)
****-間潮蓮end-****
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