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「斎様ぁっ!!」 目の前では、男とは思えない可愛らしい顔と声の小さな男共が 涙を溢れんばかりに大きな目に溜め、顔を悲痛に歪めている。 …何があったんだ。 ―――――――― 俺の名前は、木葉 斎(コノハ イツキ)。 今年でやっと高校二年になった。 俺の通っている、この聖学園(ヒジリ)は幼稚舎からエレベーター式の全寮制の男子校である。 この学園の高等部に通う生徒達は殆どが持ち上がりで、生徒数が多いとはいえ見知った顔ばかりだろう。 まぁ、そんな事は別に問題ではない。 俺は幼稚舎からだが友達が小等部だからわかった事ではあるが、この学園は変だ。 何が変かと言えば この学園は、ホモやバイと言った性癖の持ち主が生徒達の八割である事。 何故こんな事態になったのかと考えてみると、それはこの学園が幼稚舎からエレベーター式の男子校であるからだ。 この学園は、特待生奨学生では無い者以外が所謂お金持ちである。 そんないいところのお坊ちゃま達に、間違っても自分の決めた相手ではない女ができたり妊娠したり等、親はして欲しくないのだ。 この学園は、そんな親達の為に出来ているかのように 近くの街からも遠い山奥にある。 しかし、そんな隔離された場所に 年頃の性欲満載な男が集まってもみろ。 性欲が溜まりに溜まった生徒が、近くにいる自分と同じ性別の男にそれを向けるのも無理はないのだ。 …ん? いや、俺はノーマルだ。 男を恋愛対象になんか見たくもない。 「聞いてくださいっ斎様!」 ああ、目の前にいるチワワ共(いや、そっくりなんだよ)を忘れていたな。 皆はいつの間にか溜めていた涙を流している。 …俺が意識を飛ばしている間にまた何かあったのか? .
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