モノクロカラー

１.始まりは突然に

｢哉祈…お父さんはあなたのこと思って言ってるのよ？｣

コンコン、とドアをノックする音が聞こえた。軽くドアを開けると、不安げな顔をする母親。

手には俺の為に作り置きしておいたらしい夕食が皿に乗せられている。

｢…わかってるよ｣

再びドアを閉める。

｢…哉祈…ここに置いて置くわね｣

若干、声が涙ぐんでいた。
気にしない振りをする。

もちろん、夕食なんて食べて帰ってきた。
いらない。