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─……イ、…アツ…イ!─
─タスケ…テ…、俺ヲ……消サナイ、……デ─
「ッ!!!」
覚めるはずの夢が、終わるはずの夢が終わらない。重くのし掛かる空気が体の自由を奪い、龍希の笑みがひきつる。
聞いた事のない声、助けを求める台詞…終いには見覚えのない扉が目の前に現れて、薄く開きかけた。
「なんだっよ…これ!」
龍希が立っていた場所から、真っ黒な手が伸び手足を捕まれた。逃げられず、拒めず、開く扉に比例して体はゆっくり沈んで行く。
着実に闇へ身を沈めるなか、扉の向こう側に佇む人影が目についた。
額には小さな角が三つ、赤い髪を靡かせ、こちらを見据える瞳は冷たく鋭い紫の瞳。だが見覚えがある、龍希の頬に汗が伝った。あれは…───
「俺……?」
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