46人が本棚に入れています
本棚に追加
音楽室まで来た俺は、思い切って扉を開け、中に足を踏み入れた。
夕焼けが射し込む音楽室は、静寂で
何だか神秘的に思える。
しかし、そこに呼び出したはずの張本人である李花の姿が見当たらない。
自分から呼び出しといて何だよ。
トイレか?
そう思い、腕組みをした時
「道」
イキナリ、横の扉が開き
振り向く俺の名前を呼んだのは、李花だった。
彼女が出て来たのは、準備室で
よく見れば
彼女の手には、ハーモニカが握られている。
「居たんだな」
俺は、とっさに笑顔を作り李花に話し掛けた。
李花は、そんな俺を横目に準備室の隣に設置されているピアノに腰を降ろす。
そして
「はい」
と、手に持っていたハーモニカを、俺に突き出した。
「何だよ?」
俺には、不思議に思いつつ
ピアノに近づき、ハーモニカを受けとった。
「昔よくやったじゃない」
李花のその一言で、過去の自分達が頭を過った。
あぁ、そういう事か
確かに
昔は、李花とよくやっていた。
彼女は、ピアノを
俺は、ハーモニカを
各々習わされており、よく一緒に練習したり
演奏したりして、練習していたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!