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そういえば、最近してなかったな。
俺がハーモニカ習うの辞め、一緒に練習する理由も無くなったからだ。
「もう…最後かも知れないから…」
小さく呟き、寂しげにうつ向く李花
そんな彼女の姿に、俺も胸が痛くなる。
「いいな。
久しぶりにやろうぜ!」
俺は、精一杯の笑顔を作って見せた。
そんな俺に、李花も顔を上げ
微かだが笑ってくれた。
「「せーの」」
昔の様に二人で掛け声を掛け
俺は、ハーモニカ
李花は、ピアノの演奏を開始する。
李花と演奏をしている内に、俺の頭の中で昔の思い出が走馬灯の様に走り出した。
目を閉じれば、数日前までの自分達がそこに居る。
あんなに一緒に笑っていたのに…。
思い出と共に、次第に李花への想いが膨らんで行く。
伝えたい…
今伝えなければ、いつ伝えるんと言うんだ。
この気持ちを…。
いきなりハーモニカを吹くのを止めた俺に
李花は、不安げな表情を浮かべ
「どうしたの?」
ピアノを弾くのを止めて、俺を見詰めた。
「俺…」
俺は、言葉を切らす。
「何?」
しばらく沈黙が流れる。
不思議そうに、俺の顔をじっと見つめる李花。
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