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『ずっと一緒にいれる』なんて
勘違いして安心していたのかも知れない。
いつもの様に李花を家まで送り
それから自分も家へと帰った。
「ただいま」
プルルルル
俺が玄関の戸を開けたと同時に電話が鳴った。
「はい。もしもし」
素早く台所から母が電話に出た。
俺は、それを何とも考えず
いつ通り、そのまま部屋に行こうと階段を駆け上がった。
だが
「道~李花ちゃんから電話よぉ」
母の声に動きを止める。
李花?
さっきまで一緒に居ただろ?
何だ?
急用だろうか…
「おう!今出る」
とにかく階段を降り
母から受話器を受け取ると電話に出た。
「どうした?」
最近は、李花から電話が来る事も珍しくなっていたので、俺は、少し新鮮な気分で声を出した。
「どうしよう」
李花のその一言は、酷く不安げに聞こえ
俺は、瞬時にただならぬ雰囲気を感じ取った。
「どうしょう道、私…」
もう一回呟く様に言う李花の声は、何かに怯える様に震えていて…
李花が、受話器の向こう側で泣いているのだ。
ついさっきまであんなに元気だったのに…
いつも通りだったのに
一体、どうしたんだ!?
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