事件

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俺は、急に不安になる。 「どうしたんだよ!?」 俺は、焦り、再び問い掛けた。 今度は、少し強い口調になってしまったかも知れない 俺は、ただ李花が心配で堪らなかった。 今すぐ受話器の向こうに行けたらどんなに楽か 受話器の向こうで李花の涙を飲み込む様な、喉の鳴る声が聞こえた。 「『指切り』ってゲーム知ってるでしょ?」 そして話し出した李花の第一声は、あまりに脈略のない言葉 俺の頭の中に疑問符が浮かぶ。 「あ…ああ、あの変なゲームがどうかしたか?」 李花の質問の意味を上手く理解出来ないまま、聞き返した。 「うん…」 詰る李花の声。 息を飲み込んでいるのが解る。 何だか嫌な予感がする。 「どうしたんだよ」 三度目の問い掛けは、出来るだけユックリと声を出した。 いや、自分の声がユックリ聴こえただけかも知れない… 「私…」 声を出した李花の言葉は途切れ、言いにくそうな溜めが入ったが しばらくすると李花は、意を決した様に言葉を続けた。 「私、その賞品に選ばれたの」 李花の口から恐る恐る続けられた言葉と同時に 俺の頭は真っ白になった。
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