12.終わりの章

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. 「りんごでうさぎ作れる?」 僕は洗い物をしているカルピスちゃんに、椅子に座ったまま問いかけた。別にしなくてもいいっていつも言ってるのに、カルピスちゃんは家事をしてくれる。 陰湿で陰険だけど、悪い子じゃなさそうだ。 カルピスちゃんは蛇口を閉めて、こちらを振り向いた。 「水の音で聞こえなかった。なに?」 「りんごでうさぎ作れるかって」 「簡単じゃん、そのくらいできるよ」 本当かなあ。 疑いの目を向ける僕を、カルピスちゃんは睨む。 「言っておくけど、包丁さばきすごいんだからね」 「そうなの?じゃあ、お願いしてもいい?」 テーブルの上の袋から、リンゴをひとつ取り出して、カルピスちゃんに放った。 カルピスちゃんはそれをキャッチする。 「リンゴのうさぎなんて、どうするの?」 「友達にあげるんだよ」 「へえ、変な友達」 「うん、変な奴なんだ」
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