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6月上旬 「ふぁぁ」 奏は一年二ヶ月ほど遅い入学をしに、学校へと向かっていた。 まだ人がちらほらといるだけの通り道、おそらく他の生徒より早い登校だ。 何故転校ではないかというと、中学三年生の時に交通事故に遭い約半年前まで意識不明だった。 幸い事故時にはすでに進学先である水城高校が決まっていた。 奏の両親は事故にあって入院中の事を学校へ伝え、私学な事もあったのか学校側はリハビリ期間などを考慮し粋な計らいをしてくれ、留学している事にし、尚且つ奏の席をとっといてくれたのだ。 奏「あ~だる…」 ーー今日からやっと学校かぁ…長かった…リハビリ期間。留学している設定だから不自然の無いようにで始まったあの地獄の英語漬け生活… そして高校一年の科目の勉強… 奏「病み上がりの奴をまたベッドに戻したいのか?!!」 ーーしかも一人暮らしって…鬼畜か?記憶無くなる前の俺は何を考えてたんだか… 奏はやれやれといった様に首を振る。 学校の場所は奏の実家での事情で奏は実家から離れ学校に近いところに今日から一人暮らしを始めた。 「ようやく着いたか」 奏は一旦歩くのを止め目前に見える建物を見上げる。 奏「新しい生活が始まる…」 ーーまぁ記憶無くした時点で新しいけどなッ 奏はそんな自虐を挟み歩みを進めようとした。 ふぁその時奏の左側からシャンプーの良い香りが漂った。 ーーめっちゃ良い匂い 奏は匂いの主を見た。 そこには女の子にしては少し身長が高く黒髪ロングの生徒が学校へと歩いていた。
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