フレーバー

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なんだよこの台! 心の中でそう叫びながらコーヒーを飲み干した。 本当なら彼氏とデートをしていたはずだった休日。 坂下 真理 20歳 職業 OL 先日、2年付き合った彼氏にふられました。えぇそりゃあもうこっぴどく。彼には好きな人ができたそうで。いやあそうですかめでたいめでたい。 …なんて言えるはずもなく、がらにもなく私は彼にすがりついた。しかし、彼から返ってきたのは『ごめん』の一言。 でも、別に謝ってほしかったんじゃない。 私の子供の頃からの夢。 玉の輿に乗るというプロジェクトがガラガラと音を立てて崩れ落ちてしまったことに焦りを感じている。 私の中で彼は理想的な結婚相手だった。 エリート国立大出身で有名自動車会社の社長の息子。物腰は柔らかく、仕事はできる人だった。友人に頼みに頼みまくって紹介してもらい努力のかいあってなんとかお付き合いにこぎつけた。 社長夫人だって夢じゃなかった。 .
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