第一夜~父親がたくさんの娘を愛でた話~

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扉を開けると、妹たちが出迎えます。 「まあ、ローザ、なんてきれいなの!」 なんて言って、少女たちの黄色い声が響きます。 いやー、女の子ですねえ。 吸血鬼でも、16歳っていったら、人間の16歳と見た目年齢ほとんど変わりませんからね。 お姉さんの最後の晴れ姿を見て、妹たちははしゃぎます。 え、何で最後かって? この部屋をでた娘たちは、もうこの部屋には戻ってきてないんです。 なんでかって? それがこの家の決まりなんでしょう。 僕は知りませんよ。 「でも、ローザがいなくなると寂しくなるわ」 なんて、別れを惜しむ声も。 「大丈夫よ、アンナも来年になれば、また会えるわ」 こんな感じで、ローザはひとつ年下の妹をはげまします。 「じゃあね」 ローザは手を振って、部屋を後にしました。 扉が、きしんで閉まりました。
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