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彼のお城には、離れの塔がありました。
まあ、別館みたいなものですね。本館とは渡り廊下でつながっています。
その塔の頂上に、窓のない、小さな部屋があるんです。
そこに、彼女たちはすんでいました。
誰のことかって?
例の娘さんたちのことですよ。
その部屋には、一通りの家具はそろっていて、かわいいお洋服の入ったタンスや、お人形とかの入ったおもちゃ箱なんかもあって、女の子が暮らすのには不自由しませんでした。
ただ、ちょっと変わっていたのは、窓が一切なくて、外の景色が見えないこと。
そして、本や絵のたぐいが一切なかったことでしょうか。
あ、あと鏡も無かったみたいですね。
ま、これは吸血鬼の部屋としてありがちな話なんですが。
(吸血鬼って普段は鏡に映らないんですよ。だから鏡を部屋に置かない人っているんですよね)
あ、ちなみに娘さんたちは、塔の外には一切でられません。
塔の出口には全て鍵がかかっているので。
お父さん(フランソワーズさんのことね)の使い魔が、一切の給仕を行っていたそうです。
様々な年齢の女の子たちがその部屋で暮らしていました。
ま、フランソワーズさんは、子沢山だったそうですから。
でも、16歳を境に、少女たちはその部屋を去ることになるんです。
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