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子どもの頃に見ていたカヨをサトルは思い返す。
カヨは多分、普通の主婦には分類されてはいなかった。
朝から晩まで酒におぼれ、学校から戻るとよく男を連れ込んでいた。
外で待っているよう促される事も何度かあった。
思い出したくもない過去。
カヨの事は記憶の片隅に追いやり、いつか見たテレビドラマに出演していた主婦を想像しながら、マサヨシとの『会話』を繋げた。
「朝食を作ってから子ども達を起こして、急いで食べさせてから学校に追い出しました」
「朝の主婦は忙しいですよねwよく分かります。ウチに子ども達がいた時もそうでしたから」
「あ、ごめんなさい。気分を害されました?」
「いえ、いいんです。少し昔の事を思い出しただけですから。どんどん話してください。遠慮なく」
マサヨシの素直さと、単純さが現れている文面だった。
「よかった。では続けますね。それから朝食の片付けと家の掃除、洗濯。後は夕食の献立を考えたり……」
後、普通の主婦はどんな事をしているのだろう。
キーボードに触れた状態でサトルは固まった。
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