小さな国の小さな話

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「どうかしました?」   心配を装う文面。  サトルにはマサヨシが何をしたいのか初めから分かっていた。  面倒だ。早めにけりをつけよう。  サトルは切り札を出した。 「いえ。ちょっと主人の事を考えると不安になったので……」 「僕でよければ聞きますよ」 「ありがとうございます。マサヨシさんは本当に優しい方ですね」 「そんな事ないですよ。もし、本当にそうなら、妻に逃げられたりしないですから」  その通りだな。  だからこんな単純な罠に引っ掛かるんだ。 「奥様は見る目が無かったんですよ。私なら、マサヨシさんを捨てたりしない」 「えっ?……」 「なんてね。不順ですよね」  打っていて、我ながら笑えた。  「そんな事無いですよ」  馬鹿な文面に喜んでいるまさよしが、サトルには容易に想像出来た。  もう一息だ。 「どうしたんですか?」  サトルは落す体制に入った。
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