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「動くな!!」
走って乱れた呼吸を整えつつ拳銃を両手で構えた。
「こいつ、銃を持ってやがるYO!?」
ざわざわ
暴走族たちが瞬間的におののき始めるがリーゼントに叱咤される。
「狼狽えてんじゃね!」
俺は銃口をリーゼントの方にむける。
「テメェ……何者だ?」
「そこの2人の幼馴染みだ。そいつらを解放しろ」
「幼馴染みぃ?助けに来たってか?」
「そうだ。まず、そのナイフを捨てろ」
懸命に凄んで見せるが正直に言えば俺は怖かった、証拠に手が震えて銃身がぶれてしまっている。
今だって気を抜けば脚が震えだしてしまいそうだ。
俺は一度、慶次と恭吾の方を見る。
俺の目に少しばかり涙ぐみながらリーゼントの腕に口を覆い被さるように捕まっている慶次と全身から血が染みだし、2人の暴走族下っぱに掴まれて力無く座らされている恭吾が映った。
途端、恐怖は自然と無くなった。
「早くしろ!」
「誰がお前の言うことを聞くつった。そんな玩具、怖くも何ともねぇよ。テメェこそ、そんなもん捨てやがれ。こいつがどうにかなってもいいのか?」
リーゼントは慶次の細い首筋にナイフをあてた。
「む゙~む゙~」
口を塞がれている慶次は何か言おうとしているが言葉にはなかなかった。
優しい慶次のことだ、自分のことは気にしないでいいとか言っているのだろう。
「タカやん、大丈夫か!?」
「本物だったらどうするYO!?」
「馬鹿、あんな平々凡々なやつが本物なんか持ってるわけないだろ。ハッタリだよ」
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