燃える星

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「パパ、お月さまは、あんなに大きいのに、星は小さいね」 「んっ?」  息子の颯太に問われて、祐介は一瞬、返答に詰まった。  コンビニへアイスクリームを買いに出た帰り道のことだ。  眼に映る空の星は月に比べれば確かに小さい。 「うん。そうだな。でも、本当は星の方が、ずっと大きいんだ」 「どうして? だって、あんなに小さいよ」 「うん。颯太、あそこの信号の下のバスとパパと、どっちが大きく見える?」 「それは……そうかっ! 遠いから小さく見えるんだねっ!」 「ピンポーン! その通り。颯太は頭がいいな。あの星の光はパパや颯太が生まれる前に出発して、何十年もかかって地球に届いたんだ。今、あの星を出発した光は未来に届くんだ。不思議だろ?」 「えっ? そうなの?」 「そうさ。あの光は昔の光なんだよ。そして遠くで光って見える星は太陽と同じで、大きくて燃えてる星なんだ。恒星って言うんだ。地球は惑星だから燃えてないだろ?」 「うん。燃えてたら、熱くて死んじゃうよ。ねえパパ、この防護服、脱いでいい? 暑くて苦しいよ」 「あっ! それはダメだ。家に入るまでは我慢するんだよ。この辺はホットスポットだからね」 ―了―
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