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「お疲れ~」
「バイバ~イ」
「美佳、帰らないの?」
「うん、自主練していく」
「分かった、じゃあね」
「バイバイ」
体育館には誰もいなくなった
聞こえるのは野球部の声やセミの鳴き声だけだった
「……よし」
シュッ、ダン
シュッ、ダン
シュッ、ダン
「……くそ~っ!なんで入らないのよ!」
「下手だからだろ」
体育館に聞こえるはずがない声が響いた
「加賀!」
「一人で自主練か?頑張るね~」
「……別に良いだろ」
「誰も悪いなんて言ってないぜ……シュート教えてやろうか?」
「余計なお世話だ!自分で何とかする」
美佳はゴールに向き直した
そしてもう一回シュートするが、やはり入らなかった
「腕が低いんだよ」
いつの間にか横に成海がいた
「なっ……!?」
「もっと腕上げて、焦点合わせて」
シュッ、ガン
成海がシュートしたボールは綺麗な線を描いてゴールに入った
「ほら、やってみ?」
「………………」
シュッ、ガン
「は、入った……」
「な、ちゃんと入っただろ?」
「あぁ……」
「お前はもっと強くなれる。俺が保証してやる」
成海は美佳の頭を撫でた
「頑張れよ」
そう言い捨て、成海は帰っていった
「…………」
加賀なんて嫌いだ
あいつは私よりも数倍上手い
だからあいつに追いつきたいからこうやって自主練だってしてるんだ
あいつの隣に立っていられるくらいに……
いつも側にいると心臓が脈打って痛いくらいにドキドキするけど……
加賀なんて大っ嫌いだ
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