氷殺の悪戯

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「ロスは?何処か行きたいところ無いの?」 ミチェットは席から立ち上がり、意見を言わないロスを気遣い、問いかける。 ロスは少し考える素振りをすると、何か思いついた顔をする。 「花火……」 「花火?」 「うん、あの……願いの叶う伝説の花火ってやつを見てみたい……」 「ああ、ロスたちって、一年に一回ヴァロク王国で打ち上がってるにも拘らず、何だかんだで見ないのよね」 コトがそう言えばと、思い出したようにして口を挟む。 すると、三人は顔を合わせてあっけらかんとしている。 「あんなに有名なものを見たこと無いなんて……」 「いや、あるにはあるんだけど……まあ、随分見てないからな……どんなのか覚えてないんだよ」 「任務とかって事かい?」 「まあな」 少し寂しそうにしてロスはシランの質問に答える。
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