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「そんじゃな?お姫様っ。明日も具合が悪かったら言ってくれ……俺、隣に居るし。後、必要な物とかも」
「うん、ありがとう……ロス」
私がお礼を言うと彼もまた部屋から出て行った。
私は一人、部屋の天井を見上げる。この熱はきっと知恵熱だろう。一気に、色々な事を思い出しすぎてしまった。宝箱は鍵が開き、そのまま溢れ出て来た。
漆黒の髪、澄んだ青い瞳、紅蓮に燃え上がる赤いローブ。
次々と思い出していく、私の過去。
何故今なのだろう?
何か意味があるのだろうか?
私は気が付くと、重たい体を起き上げ裸足で駆け出していた。足が自然と“その場所”に向かって行く。
潮の匂いが鼻を霞め、まだ冷たい風が肌を撫でる。
そして、行きたい場所に着くと桃色の髪を靡かせた一人の女性がその場に立っていた。
私は呼吸を整えながら、その人に近付いて行く。
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