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彼女に一歩一歩近付いて行く度に、彼の言葉が頭を過る。
“俺の最愛の人だよ”
“世界で唯一好きだと言える、素敵な人だ”
“いつか、お前にも会わせてやりたいなぁ”
名前は、何て言うの?
“あれ?言ってなかったか?名前は……”
「ミーア・セルレイドさん……ですか?」
私が口を開くと、漸く私の存在に気付いたのか、驚いた顔をしながら振り向く。彼女は首を傾げこう言った。
「貴女は?」
「私は……ユア・シグナルです」
一瞬、自分の名前を言う事に躊躇したが、私は自分の名前を口にした。彼女は私の名前を聞くと、目を見開かせる。
「そう……貴女が」
「?……私の事、知ってるんですか?」
彼女の言葉が引っ掛かった私は、首を傾げて彼女に問う。彼女はゆっくりと頷く。
「良く、彼から送られてきた手紙に書いてあったわ、貴女の事」
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