紅蓮の思い出

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ミーアさんは、振り返りながら思い出す様にして口を動かす。 彼女の視線の先には、一つの墓石が立っている。彼が眠っている場所……。 「彼は此処に眠っているのね?」 その言葉に私の胸がズキリと痛んだのが分かる。私は渋い顔をしながら言葉を考える。 巧く、これは私が説明しなくちゃいけない事なんだから。 「……彼は……」 困惑する私の頭をミーアさんがそっと撫でる。私は驚いてミーアさんの方をバッと見る。ミーアさんはとても優しい表情をしていた。 「……私、知らなかったわ。恋人失格ね?」 シーンと自然の物が静まったかの様に、周りの音は一切入って来ず、彼女の言葉だけが鮮明に聞こえた。私の顔は強張っていて、唇は震え出す。 「……私のっ、所為なんです。私が――」 そこまで言っておいて、私は言葉を紡ぐのを止め唇を噛み締める。そして俯いた。彼女の瞳から避けたかったから。 ミーアさんは急に黙ってしまった私に戸惑っている様だ。
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