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暫くすると、ミーアさんは何かに気付いた様な声を漏らすと、私の肩に手を置く。
「何があったのかは分からない……でも、このお話は今度にしましょ?」
優しく微笑みながら、優しい声色で言葉を放つ、“彼”の最愛の人。
「貴女がやる事はまず、私に話すよりも先に靴を履かなくちゃ」
私はそう言われて、漸く自分の足を見た。
足からは裏が処々切れてしまっているのか、血が出ていて土に染み込んでいる。
そう、私は何も考えずに頭の思うままに足を動かし、此処に来た。
「素足のまま此処に何をしに来たのか何て不粋な事は言わないわ……ただ、ね?私たちは会おうと思えば会えるもの……だから、今日の処は帰るべき場所にお帰りなさい?」
ミーアさんは、私に一枚の綺麗に折り畳んである紙を渡すと街の方に姿を消した。
その紙を広げると、地図が書いてあった。それはきっとミーアさんの家だろう。
私は一人、墓石の前で崩れ落ちる。
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