紅蓮の思い出

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「何故、私は此処に来てしまったの?……何故、貴方は私を生かしたの?分からないよ“フレア”!!」 叶う事なら、このまま感情に身を任せ心の思うままに泣き出してしまいたかった。 ……でもそれは許されないし、許さない。私が私を許せない。そんなのは只の“逃げ”でしかない。“甘え”でしかない。 そんな事は“許されない”。 「ユアっ!?何してんだよ?こんな処で!?」 私は名前を呼ばれた方にゆっくりと顔を向ける。そこには、状況が把握出来ていないルッカが立っていた。 彼は、走って私の処までやって来る。 「……ルッカこそ、どうしたの?“こんな処”で?」 「俺は只の散策だよ。……ってかお前、部屋で寝てたんじゃ無かったのかよ?」 ルッカはそう言葉を紡ぎながら私の事を端から端まで様子を見る。 私の足を見るなり彼は驚愕する。そして眉を寄せて、私を凝視するが私が視線を逸らすと、何も言わずに自分のポケットからハンカチを取り出した。
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