紅蓮の思い出

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そのハンカチを私の足に巻き付けると、私の頭をくしゃくしゃと乱暴に掻き回す。 「お前、今日は体調悪いんだろう?早く戻ろうぜ?おぶってやるから」 彼はそう言うなり、私をおぶるとゆっくりと歩き出して寮に向かった。その間、ルッカは何も聞いては来なかった。私は彼の背中の温もりを感じながら瞼を閉じる。 “フレア・アルケイド”と彫られた墓石を残して。 *** 「ルッカ、ユアは!?」 コトは息を切らしながら、ルッカに問う。ルッカは優しく微笑む。それは心配無いと言う事になる。コトはホッと胸を撫で下ろす。 私が居なくなった事を知った、コトたちはわざわざ私の部屋の前まで集まってくれたのだ。 「ユアは……何処に居たんだ?」 ロスはルッカに聞くと、ルッカは隠す事無く皆に言う。 「“フレア・アルケイド”と彫られた、海沿いにある墓石に居たよ」 コトはその名を聞くと、目を見開いた。
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