唄の月日

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「えー、それでは良く親御さんと話し合っておいてね?そのプリントは来週までに提出して頂戴?それじゃぁ、今日はこれで終わり!!解散して良いわよ」 栗毛の女性担任はそう言うと、教室から出て行った。そしてそれと同時に、多くの生徒たちは帰りの支度をし始める。 「ハァ~」 私の隣で気の無い溜め息を漏らしているのは、純金色に染まった腰まである髪と、とても綺麗な青い瞳を持った少女。 「どうしたのよ、コト?そんなに長い溜息ついて?」 コトは私の方に視線を向けると、また深い溜息を吐く。私は苦笑気味で彼女の言葉を待つ。 「そりゃぁ、溜め息も付きたくなるわよ……三年に上がって直ぐに先生たちは口を揃えて、進路、進路、進路って……もう、嫌になるわ」 そう言い終わってまた深い溜息を吐く。 そう、もうあれから二年の月日が経っていた。 そして、私たちは三年生になり、この学園の最高学年になったのだ。 「しゃー無いんじゃないの?もう三年だし?自分の道に向かって示しを付けろって事だろ?」 私とコトの会話に割って入って来たのはロスベル。コトは彼の言葉に再び深いため息を付いてしまう。 それはもう、こっちが脱力感に陥る程の深いため息を……。 「ユアたちは“虹の協団”に、やっぱり就職?」 さり気無く私たちの進路を聞いて来たのはミチェット。
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