紅蓮の思い出

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そんな彼女に私は頷き、シランの方を見て口を開く。 「みんなも、一緒に来て欲しいんだ……聞いて欲しい事があるから」 みんなは少し困った表情になると、一斉にコトの方に視線をやった。コトは力強く頷く。それを見た彼らは、まだ少し迷いながらも頷いた。 それはつまり、私の話を聞くために一緒に行くと言う事だ。 ありがとう、コト。 さぁ、話そう……許される事の無い、私の“罪”の話を。 私たちは、別れを交わすとそれぞれ自分の部屋に戻って行った。私も自分の部屋に戻った。 いつの間にか降っていた雨を、窓から眺めながらボーッとしながら週末の事を考える。 こう言う事は二年前にもあった……内容は違うけど、でも自分の領域にこれ以上入って欲しくなくて何も言わなかったって言うのは同じだ。 嫌、あの頃も今も、領域がどうとかじゃなくて、只知られるのが怖いだけなんだ……。
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