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話してしまえば、また何かに巻き込んでしまいそうで。
私は、あの頃から何も成長出来ていない……恐れる事しか出来ない、臆病者だ。
“そうやって懺悔だけして、“罪”を無かった事にしたいんだ?”
私に良く似た幻覚が、私の心の声に反応する。
幻覚は私の頬に手を添えてくる。そこは以前、彼女によって引っ掻かれた場所。痕はうっすらだが残っている。
“そうやって行って、いつか私の事も忘れるの?お前に降り掛かった事を“不幸だった”と言う簡単な言葉で片付けるの?”
幻覚は姿を消したと思ったら、私の隣に寄り掛かっていた。
“居なくなった者が何よりも恐れるものを知っていて尚、お前は忘れる事を願うの?”
疑問ばかり私にぶつけて来る彼女。
そうだ、私は彼や彼女に教えてもらった。居なくなった者が何よりも恐れるものを。
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