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「うん、準備は完璧だよ」
しっかりと頷いて返事を返したのは片岡裕一だ。見た目はどこにでもいる高校生だが、人並み外れた観察力はプロの警察官を凌駕する。
「そうか。裕一の観察力は凄いからな。信頼するぞ」
「そ、そんな…恭介には負けるよ」
手をヒラヒラと振りながら否定する裕一。そこへ、攻撃的な髪型だが和を大事にする少年、神前住人は自らの武器であるハルバードをひと回ししながら割って入る。
「なんにせよ、罠を張ったところで正念場は俺達だがな」
「ああ、そうだ。切り込みは神威と住人、それとアルベイン頼んだぞ」
「了解」
「任せておけっての」
長髪の維新志士を彷彿とさせる無口な少年、神威と紫の髪を纏ったアルベイン=ガーンズバックと呼ばれる男は決意を新たにした。
そのままアルベインは周りを見渡す。
「そういえば、日生くんと清武くん、そいで健太郎は?」
「ああ、あいつらなら最終チェックや偵察に回ってるよ。念には念を入れなきゃならないからな」
恭介は当たり前のように言った。やることはつまらなくても取り組みはとことんまで煮詰めるのがガーディアンバスターズのカラーだ。
「しかし、目的があいつを引きずり出すためだとは言え…今回はちと大掛かりじゃないか?」
住人は気難しそうな顔をしながら恭介に問い掛ける。だが、恭介は問題ないと言ったふうな答えを返した。
「まぁな。これをしたばかりに灰色の青春が確定するかもしれない」
「な、なんか結構シビアなんだね…」
「裕一には日生がいるじゃないか」
「うっ」
「ははっ、図星だな」
真面目な話が一転、裕一弄りに発展する。それもまた、ガーディアンバスターズのカラーである。
「で、でも日生は僕をなんとも思ってないよ!」
「女の子と仲良くしやがって…爆発してしまえ」
「神前くん不吉な事言わないで!?」
「なにを言ってるんだ裕一くん。こないだ日生くんの肌着の匂いを嗅いでいたじゃないか」
「やってないから!神威くんも無言で僕から距離を取らないで!?」
裕一がなまじ真面目なばかりに弄りのレベルは上昇していく。そろそろ良いかな、と呟き恭介は場を収拾する。
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