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「なんでまたそんな…」
「風呂場の前の通路も絶対通らなきゃいけない場所だ。なら、大将はそこに居るべきだろう?」
戦略的に、要塞拠点には強力な兵器を置くのは常套手段である。固定砲台が望ましいが、遠距離型の佳奈多と一騎を比べても一騎の方が圧倒的に強かった。そして、一騎の強さにはもうひとつ理由があるのも、自身が最終ラインに立つと決めた魂胆だ。
「まぁいいや、とにかくやることはしてよね」
そう言って、佳奈多はショットガンを担ぎ直して持ち場に向かって行こうとした。が、その時アラートが鳴る。
「「「!?」」」
その場に居合わせた全員が目を見張る。すぐさま、佳奈多のトランシーバーに通信が入った。
『会長、やつです!ガーディアンバスターズです!』
「…来たわね!」
佳奈多の目付きが鋭くなる。こうなった時の佳奈多の判断力は非常に迅速だ。
「13と11以外は見つけ次第各個捕獲!6と7は9の救援に向かって!水無月さん、応答を!」
『なに?』
涼しげな声で、由真は応答をした。
「もし複数あたることになってもいける?」
『やれと言うならやる』
冷静で口数の少ない由真らしい答え。佳奈多はそんな由真を誰よりも信頼していた。
「じゃ任せたわ!私もすぐむかうッ」
『了解』
それきり、応答はない。しかし、別の部隊から通信が入った。
「あーい、桜井だ」
『申し訳ありません!6・7・9番隊壊滅です!』
なにがあったし、と一騎は間の抜けた顔をする。
「んで?原因は」
『そ、それは…うわっ!く、来るな来るなぎゃあぁぁぁぁ!!』
がちゃーん。ザー。
一騎は自らが握っていたトランシーバーをしばし見つめる。
「……なにがあったの?」
げんなりした声で、ようやくそう聞く佳奈多。
「大方天井からゴキブリでも大量に降ってきたんだろ」
「……頭痛くなってきたんだけど」
顔に縦線を入れながら頭を抑える佳奈多。風紀を守る集団が、たかがゴキブリで悲鳴を上げているのだから佳奈多としては情けない以外の何でもない。
「まぁいいさ。あいつらにはやらせるだけやらせとけ」
「だけど!」
それでも特に気を止めない一騎に佳奈多は反論しようとする。が、一騎はソレを制する。
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