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「そこ」
由真は先回りするかのように、行先目掛けて氷の雨を降らす。
それを恭介らはなんとか凌ぎ切り、女子寮へ突入した。
「くっ…フリーズ「うにゃーっ!」ッ!?」
砲撃で追撃をかけようとするも、日生の蹴りを凌がざるを得なかったため強引にキャンセルし、杖で蹴りを受ける。
そこから由真は手を日生に掲げて魔法の永唱を始めるも、裕一の銃撃にまたもや防御せざるを得なくなった。
「くっ…」
仕方なく、由真は距離を取って日生らの出方を伺う。日生は無言でただただ、由真を見つめていた。
「裕一」
「なに、日生?」
「ゆまは、あたしがやる」
「ええ!?そんな無茶だよ!」
日生のカミングアウトに裕一は目を丸くするしかなかった。ついで、日生の無謀をどうしてくれようかと裕一は考える。
「大丈夫だ。あたしがやる」
「だけど日生!」
「裕一はあたしのことを見てるだけでいい。だから、下がってろ」
自信に満ちた声で、日生は一歩前を見る。スイッチが入ってしまった以上、裕一にはもう止められない。
「覚悟は」
由真は眉ひとつ動かさず、杖を日生に向ける。日生も動じずにファイティングポーズを取った。
「「ッ!」」
日生は飛び上がり、由真はあらかじめ永唱していたらしい攻撃魔法を跳躍した先に撃ち込む。
「にゃーっ!」
宙転しながらの踵落としで、攻撃を撃ち落とす。そのまま、由真の元へ降り立つとジャブを叩き込もうとする。
「…っ」
由真はなんとかかわすと、杖で日生の腕を押し退ける。さらにひと回しして、杖の先で日生を突く。
「いつっ!」
「日生!」
思い切り吹っ飛ばされた日生を見て、裕一は叫びながら飛び出そうとする。そこを待っていたかのように由真は氷の雨を裕一に降り注げる。
「ヒットラー、五十六、ガリレオ!」
日生が同時に、端から聞けば訳の分からない名前を呼ぶ。その声に呼応して、三匹の猫が茂みから飛び出し、裕一への攻撃を全てたたき落とし裕一を庇うように向き直った。
「猫…貴女は、猫又の力があるのね」
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