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「さて…次はあなた」
日生の沈黙を確認した由真は、標的を裕一へと変えるのだった。
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Side Kazuki
さてはて…佳奈多も出ていったから暇過ぎてたまらんな。俺が覗くぞちくしょうが。
「いやいや駄目だって」
「やらねぇよスカタンが」
俺の心の声を容赦なく読んでくる変態は赤石輝夜(あかいし てるよ)。ポニーテールに前向きな瞳、すらりと伸びる手足は非常に美しい。が、こんな妙な念動力を備えたばっかりに俺は弄り相手にされている。
そんな少年な少女が、輝夜の人間像だ。
「まったく、本当に気分屋だね」
「おまえも人のことは言えないと思うがな」
「そうかな。私は時間に忠実に生きているけど?」
「…だったら、あのていたらくはなんなんだ」
額に手を当てながらぼやく。彼女は確かに優秀なんだが……その行動はまさに破天荒。気まぐれの塊と言っても過言ではない。しかし、そんな彼女は俺にとって素直な気持ちで話せる数少ない人間でもあった。
「しかしあの人達遅いね。てこずってるのかな?」
「まさか。由真を全員で相手せざるを得ない状況にならない限りは問題なくないか」
恭介さんらが来るであろう廊下を見つめながら、二人で会話する。あいつらの力で由真を押さえられないのか…とか考えていたら、佳奈多から通信が入った。
『一騎、ごめん!三人そっちに向かった!』
「来たか……!」
来たことを感じ取ったらしい、輝夜も両手に双剣を携えて構える。すると、前方から大剣、ハルバードを構えた2名を含めた三人がこちらに向かってきていた。
「私はどうしよう」
「ハルバード頼めるか」
「了解っと」
輝夜はハルバードを携えた男…神前往人に攻撃を仕掛けた。
「はぁぁぁ!」
往人の鋭い突きを繰り出す。それを二本の剣で綺麗に受け流すと、美しい軌跡を描く連続攻撃に移った。
往人もそれらをなんとか受け止め、強引に反撃に転じる。
「そぉりゃあ!」
大きな薙ぎ払いだが、輝夜は体重移動だけで受け流す。そんな芸当は、念動力を持つ輝夜には朝飯前だ。
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