FATE1-1 湊凪温泉アタック

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「そぉら!」 紫髪の男の魔法が飛んできたので、俺は腰から抜いた白龍で切り払う。 しかし安心したのもつかの間、大剣を担いだ男が思い切りソレを振り下ろす。 ガキィ…ッ 重い…ッ!それが受けた正直な感想だ。華奢な腕にもかかわらず重たい一撃が振って来るのは正直驚いた。だが参ったな、俺には輝夜みたいな受け流しの技術はない。 「セルランサー!」 身動きの取れない俺に対して拡散射撃をたたき付けてくる。強引に大剣を押し退けた俺は直ぐさまその場を離れる。 「チェストォ!」 離れた先の壁を思い切り蹴って紫髪の男を狙う。放たれた一撃は大剣のしっぽ頭が迅速に受け止める。 「クラスターストーム」 そのまま、大剣を力任せに振るう。一緒に放たれる竜巻に似た突風は俺の制服を切り裂く。 「ぐぅ!」 まだ気は抜けない。死角から俺を目掛けて、紫髪の男が誘導射撃魔法を撃ち込んできた。 まさに絶妙な連携。感服だ。 「ふっ…。執行部長がこんな様か。少し期待していたんだけどな」 あ、カチンと来た。こいつはなぜ、俺がこの位置にいられるのかが分かってないみたいだ。 刀に、自分の魔力を充填する。凝縮された電気がパチパチと弾ける。 「雷・鳴・剣ッ!」 極大の雷を携えて切り付ける雷鳴剣。屋内なので相手目掛けて撃ち込み、大きな爆発を巻き起こした。 「くっ…」 「ちっ、これが狙いなのか!?」 粉塵に紛れて二人の間に飛び込む。そしてしっぽ頭にハイキックを入れた。鈍い音がして、吹き飛ばした感触を感じる。 「やらせるか!」 至近距離から魔法を撃とうとする紫頭。だが、それを撃たれる程俺は弱くはない。 その腕を取り、思い切り捻り上げる。すると、紫頭は苦悶の声を上げた。 「き、貴様…剣を振るえ…ッ。刀使いとして恥ずかしくないのか」 負け惜しみとも取れる言葉。残念だが、今時専業でやっていけるとは大間違いだな。 「悪いな、俺の戦いに距離はない」 まだまだ精進はしないといけないけどな、とも付け足しておいた。
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