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「これでわかったろ。いくら俺の攻撃を読めても来る場所さえ分かれば俺は強引に止められる」
「ふぅん。じゃあ…これは止められるかな」
「あぁ?まだ隠し玉があるのかよ」
「もちろん。じゃなきゃ私が執行部なんかにいると思う?」
輝夜の手にした長剣の渦巻き状の刃を伝うように風が疾り出す。
「また妙な能力だな…。俺の攻撃をヒョイヒョイかわせるのと関係あるのか?」
「ふふ、どうなんでしょ」
「ちっ…」
不敵な表情の輝夜にしてやられたように舌打ちをする往人。その間にも、長剣のつむじ風は段々強さを増していった。
「では…赤石輝夜の超一流の攻撃というやつを、ご堪能していただきましょう」
輝夜は片方の剣を棄て、長剣を打突に構える。往人も、輝夜の出方を注視した。
刹那、輝夜が駆ける。
(迅い――)
往人の思考がそう告げた時には、往人の左肩から腕にかけてが消し飛んでいた。
「―ッ!」
もちろん、往人には痛覚はない。しかし輝夜の一瞬の動作で己の腕が消し飛んでいることには驚きを隠せないでいた。
「私の勝ちね」
ポニーテールの少女はいらずらっぽい笑みを見せながら流し目でウインクをしてみせた。
「…約束だからしゃーないな。俺はもう何もしねぇよ」
「うん、助かるよ。んじゃ…あっちの救援に行きますか」
「あっ、ちょ…待てぃっ」
「んー?何ー?」
往人に呼び止められ、踵を返していた輝夜は立ち止まる。
輝夜が往人の顔を見ると、なにか物言いたそうにしているのが目に見えた。
「良かったらその、俺と――」
「?」
「からしねりねりしないか!?」
往人の脳内では、二等身往人×5が本体にこいつ馬鹿だ!というツッコミを入れた。
「か、からし…?練り練りするの?某スワットみたいに?」
対して輝夜は腹を抱えて笑いそうになるのを必死に堪えながら、やっとの思いで答えた。
「やっ、違…そうじゃなくて…!」
往人もこんがらがる頭を必死に整理しながら、適当な言葉を探し出す。
しばらくしてから、ようやく整理が付いた往人はこう言った。
「俺と…アド交換しないか!?」
「いいよー」
「えええ!?」
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