FATE1-1 湊凪温泉アタック

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「く…」 俺の目がおかしいのか。確かに、あいつは大剣を振るっていたはずだ。 手応えを感じたらしいシッポ頭は大槍をひと回しする。すると、右手に握られた大槍が機械的に組み替えられ、それは長刀へと変貌した。 (なるほど…マルチプル・ウェポンか。なら、あいつの能力も一種の念動力だな) ひとつの武器の組成を単独で組み替えられるのは、念動力を持つ人間だけだ。だから、輝夜も自在に剣を扱える。 (だったら…出し惜しみをする必要はない) 俺は刀を納め、両手に意識を集中させた。 両手は淡い光を帯び、やがて光で出来た剣が形成される。 「やっと出しやがったか…」 紫頭がやれやれと言ったように首を振る。シッポ頭も、俺の両手を凝視していた。 「あいにく、長時間使用には使い辛いんでね」 「その割には両手に形成しているようだが?」 「お前らは出し惜しみして勝てる相手じゃない。シッポ頭の武器を見てよく分かった」 「…神威」 シッポ頭は神威と言うのか。そっちの紫頭は 「アルベインだ」 アルベインか。これまた大層な名前で…。 まぁいい。見せたからには…潰す! 「うおおおっ!」 見境のない突撃。アルベインは軽く横へステップしたが、お構いなしに右手の刃で切り払う。 「うぉ、伸縮自在かよ!」 「ああそうさ」 アルベインは翳した右手を振り下ろし、魔力弾を降り注げる。俺はしっかりと弾道を見据え、一息に切り落とした。 「嘘だろ…ッ」 アルベインはまさかの自体に驚きを隠せない。その後ろからは、神威が刀を構えている。しかし―― 「やらせるかよ」 右往左往はしないが、いつでも動の体勢にいる。それが俺の戦い方だ。 切り払いをした時の体重移動の力を殺し切らない内に一気に詰め寄り、神威の懐に飛び込んだ。 「ふっ」 「ッ!」 ギンッ!俺の刃と神威の刀が火花を散らす。俺より神威の方が腕力があるみたいだが、技量なら俺が勝っている。 「…アルベイン、今だ」 「分かってらぁ!」 神威が押し込む内に、アルベインが再び攻撃魔法を叩き込もうとした。 (なるほど、逆なら確かに防衛しづらいな) アルベインの魔力弾が一斉に襲い掛かる。それを空いている手で吹き飛ばしたが、支え切れず体勢を崩してしまいそうになった。
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